初心

芸大に入学して一番最初にお世話になった大好きな師匠(御歳83)に久しぶりにお会いできました🥰

受験生の頃は「この先生につきたい!」というのをモチベーションに勉強していたのを思い出します。

当時、歌うと10分くらいで喉が痛くなっていた私😅に、発声の基本の基本から教えてくださった先生です。(芸大の教授に横隔膜の場所から教えていただくとは、、、笑)

そんな先生に何気なく声についての相談をしたところ、瞬時に明確な答えをくださいました…!
自分でも、なんとなくそうなのかな…とは想像できていたものの、信頼する先生から明確な答えをいただけると気持ちの上でも安心感が違います。

先生と色々お話する中で、アドバイスをいただいたり学生時代を彷彿とさせるやり取りもあり、初心に立ち返ることができました。
むしろ、いかなる時も、初心、基本に立ち返ることこそが大切なのだということを教えていただいたように思います。


ところで、「初心忘るべからず」という言葉は、今日では物事を始めたころの謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならない、という意味で使われますが、
出典は、世阿弥が観阿弥から伝えられた芸の極意をまとめた『風姿花伝』、後期に著した『花鏡』だそうです。

世阿弥は『花鏡』の最後「奥段」の終わりに
是非初心不可忘(ぜひのしょしんわするべからず)。

時々初心不可忘(じじのしょしんわするべからず)。

老後初心不可忘(ろうごのしょしんわするべからず)。」
と3つに分けて説いています。

「是非(ぜひ)の初心を忘るべからず」
若い頃の未熟な芸を忘れなければ、そこから向上した今の芸も正しく認識できる。

「時々(ときとき)の初心を忘るべからず」
年盛りから老後に至るまでの各段階で年相応の芸を学んだ、それぞれの初めての境地を覚えていることにより、幅広い芸が可能になる。

「老後の初心を忘るべからず」
老後にさえふさわしい芸を学ぶ初心があり、それを忘れずに限りない芸の向上を目指すこと。 


「『文化デジタルライブラリー』世阿弥の業績より」


80歳を過ぎてもなお、今できる限りの訓練を続け、勉強しつづけていらっしゃる先生。この世阿弥のしるす芸の精髄を体現していらっしゃるのを目の当たりにし、限りない芸の向上の道を進み続けるその姿勢からも学ぶべきことがたくさんあると感じました。

* Bear Fruit *

ソプラノ歌手・金持亜実(かなじあみ)の ウェブサイトです。

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